こんにちは。
宮城県岩沼市にある
いわぬま矯正歯科クリニック院長
小森です。

今回は、
インビザラインによる歯列矯正に関してです。

インビザラインは、ここ数年で急激に治療患者数を増やしてきた矯正装置で、患者さまの中にもこれをしたいとお越しになる方が多くなってきました。目立たない装置であるという事もありますが、従来のワイヤー矯正に比べて手軽であるということ、従来のマウスピース矯正に比べて歯の移動の多様さが増して治療できる症状が広がったことが人気の原因と思われます。

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インビザラインとは何か?


 
 インビザラインとはアライナーと呼ばれる歯列矯正用マウスピースの一種です。
 基本的には、乳歯から永久歯にすべて生え替わった患者さまの治療に用いられます。萌出交換期(乳歯と永久歯の混在している小学生あたりの年代)には、インビザライン・ファーストと呼ばれるマウスピースが利用されます。



マウスピース矯正とは?



 マウスピース矯正は昔からある技法で、「アライナー」と呼ばれる透明なマウスピースを用いて歯の移動をおこなう物です。マウスピースを交換することで形を徐々に変えていき、歯列を整えます。
 従来の矯正治療と比べて長所は、
①目立たない
②金属アレルギー患者でも使用可
③壊れにくい
④歯科医院での診療時間が短い
⑤歯を磨きやすい

などが挙げられます。


インビザラインと他のマウスピース矯正との違いは?


 
 どちらも透明なマウスピースを使用して、数日おきに新しい物に交換していくのは同じですが、異なる点があります。

1 デジタルでマウスピースを作製する


マウスピースの作製には、歯型の採取を必要とします。
従来はアルジネートやシリコン素材で歯型を採って石膏模型を作製し、模型の歯を切り取って動かす事でマウスピースを作製していました。
しかしインビザラインは従来のものとは異なり、歯型の採り方がふたつあります。
①シリコン素材
   粘土状のシリコン素材で歯型を採り、石膏模型を作る事なく歯型をそのまま送り、CAD/CAM(光造形)を用いてデジタル化します。
   デジタル化したデータで歯の移動をシミュレートし、段階的に動かした状態の模型を3Dプリンターでプリントアウトしてそれぞれのアライナーを作製します。
②口腔内スキャナー
   3Dスキャナーで口の中を撮影して、そのデジタル化したデータをそのままインターネット経由で送ります。
   シリコン素材は、海外まで歯型を送ったり現地でCAD/CAMをする必要があるため、時間がかかるうえに歯型が破損する危険性もあったのですが、こちらではデジタルデータのやり取りだけなので、時間や安全面で優れています。

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2 歯にアタッチメントを取り付ける


 インビザラインが他のマウスピース矯正より適応症が広いと言われます。その理由のひとつが、アタッチメントの存在です。
 アタッチメントとは、歯の表面に取り付けた出っ張りで、レジン(虫歯の詰め物などに使用される歯と同色のプラスチック素材)で作製されます。この出っ張りがマウスピースに引っかかることで、歯が移動しやすくなります。

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3 歯の動かし方は歯科医師自身がデジタルで決定する


 
 従来のマウスピース矯正は、歯科技工士もしくは歯科医師自身が歯型から作られる予測模型(一歯ごとに切り分けられて動かす事のできる模型)で、一段階ごとにアナログで作製されていました。
 インビザラインでは、歯型が提出されると技工所の技術者はデジタルでおおまかな歯の移動をシミュレートします。技術者は歯科的知識が無いもしくは乏しいため、歯をどのように動かすかを最終的に決めるのは、診療する歯科医師自身です。このように書くと当たり前のように見えますが、一部の方(歯科医師を含む)は勘違いをしている場合があります。あくまで最終決定するのはドクターなので、歯の動かし方に関して責任があるのはドクターです。
 その事から、歯科医師の知識や経験の有無で、治療の結果に影響が出てくる事となるのです。

インビザラインで治療が難しい症状は?

 
 マウスピース矯正全般に言える事ですが、大きく歯が動く必要がある症状は基本的に難しいとされています。
 その中でも以下の症状は特に難しいです。

1 抜歯を必要とするもの


 叢生(歯の並びが凸凹であること)の程度や奥歯のズレによって抜歯が必要となる症状があるのですが、抜歯するとすき間が開くため、歯の移動距離が大きくなります。
 その中でも、マウスピース矯正では特に①犬歯の遠心移動(歯を奥に動かす)と②大臼歯の近心移動(歯を手前に動かす)が難しいとされています。

2 過蓋咬合


 過蓋咬合とは上下の前歯の重なりの程度が大きい状態で、「咬み合わせが深い」「ディープバイト」と言われることもあります。
 なぜ治療が難しいかというと、以下のような説明になります。

 前歯に比べて奥歯の高さが低い
 ↓
 過蓋咬合
 ↓
 マウスピースは奥歯の咬む部分(咬合面)を覆っている
 ↓
 マウスピースを装着する事でマウスピースの厚み分、奥歯が歯ぐき方向に押される
 ↓
 さらに奥歯の高さが低くなる
 ↓
 過蓋咬合が進行する

 これとは反対の症状である開咬(前歯が上下に開いた症状)は、奥歯の高さが抑えられるため治療がしやすい場合があります。

3 骨格的な不正咬合


 歯ならびが悪くなるのは、①歯が原因となるものと②あごの骨が原因となるものの大きくふたつの要因があります。マウスピース矯正では程度にもよりますが②あごの骨が原因となるものは、ズレが大きい場合があって治療が難しくなります。

逆に治療しやすいのは、「骨格的に問題が無く、抜歯せずに治療できる」ような症状です。

インビザラインでの治療の流れは?



一般的な歯科矯正治療の流れは、
①相談
 患者さまからお話を伺うことで、歯ならびのお悩みを明確にする
②検査
 レントゲンや歯型採りなど、治療に必要な検査をする
③診断
 治療方針を決定する
④治療
 治療方針をもとに、装置を装着して治療をすすめる
⑤保定
 装置を外した後、後戻り(綺麗に並んだ歯がズレること)がないか確認する

以上ですが、インビザラインでは医療機関でも異なりますが、
③診断の後に、
③(1)印象
 インビザライン作製のために歯型を採る(検査でおこなう場合もあります)
③(2)クリンチェックの確認
 歯の移動のシミュレーションをマウスピース作製の前に確認する(医療機関によって省略する場合があります)

このような工程が④治療の前にくわわります。

インビザラインで治療する医療機関の選び方



 
矯正歯科の良い選び方はありますか?#27でもご説明しましたが、歯科医師であれば歯列矯正治療をおこなう事は可能です。

インビザラインで治療可能な歯科医師は、以下の要項が必要です。
①歯科医師免許を所有している
②5年以上の歯科矯正の経験がある
③大学やその他の施設で歯科矯正学を履修している

私が個人的にご推薦する医療機関は、以下のような特徴があります。

1 日本矯正歯科学会で認定医以上を有している


 
矯正歯科の認定医って何ですか?#19でご説明しましたが、歯科矯正に関して大学卒業後にしっかり勉強した事を認定したものが、日本矯正歯科学会の認定医です。日本矯正歯科学会とは、歯科矯正をしている歯科医師のほとんどが加入している学会です。
 歯列矯正の治療が上手だから資格を有しているわけではないのですし、インビザラインでの治療が必ずしも上手というわけでもないのですが、最低限の目安になるのではないでしょうか。


2 インビザライン以外の装置でも歯科矯正治療をしている


 
インビザラインをはじめマウスピース矯正はどのような症状でも治療可能な技法ではありません。また、治療をしている中で不測の事態が生じる可能性もあります。
 その際、代替治療やリカバリー治療に必要なのは同じマウスピース矯正ではなく、ワイヤー(針金)を用いた矯正などの異なった治療法です。そのような治療法にも対応可能な歯科医師の方が、安全に治療が進められるのではないでしょうか。

3 インビザラインでの診療を一定数以上経験している


 
それとは逆に、矯正歯科専門の歯科医師であったとしても、インビザラインでの診療をしていないもしくは経験が少ない場合があります。経験が多いから技術が優れているとは限らないのですが、ワイヤー矯正とは技法や考え方が異なる部分があるため、一定数以上の経験は欲しい所です。


まとめ

5年程前まで、目立たない矯正治療と言えば歯の裏側からの矯正(舌側矯正・リンガル矯正)でしたが、ここ数年でインビザラインを中心としたマウスピース矯正に移行して来ました。
その理由としては、素材が良くなった事やデータが蓄積された事で歯を色々動かせるようになり、適応症が広くなった事が挙げられます。

 将来的にはAI(人工知能)で治療計画を立てる事ができるようになり、歯科医師がいなくても治療する事ができるようになるのかもしれませんが、現段階(2019年)ではそこまで至っていません。

 皆さんにとって、何かの参考にして頂ければ幸いです。

医療法人KOM
いわぬま矯正歯科クリニック
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